(6)金井壽宏氏

● 「人から成り立つシステムを理解する最良の方法は、

  それを変えてみようとすることだ」

 クルト・レヴィンは「人から成り立つシステムを理解する最良の方法は、それを変えることだ」というような名言を残しています。でも出所がわからなくて、わたしがシャイン先生に言ったら、即座に直してくれました。「変えることだ」とは言っていない、「変えようとするだけでいいんだ」と。だから、家族を変えたい、家族が何なのかを知ろうとしたら、家族を変えようとしたときに、誰がどういう働きをするか、いちばんよくわかるし、神戸大学経営学研究科がどうなっているかを本当によく知りたかったら、変えてみようとすれば、どこに応援がいるとか、どこに障害があるか、自分の中にも大きく変えることへの不安と希望の両方があることに気づかされたり、いろいろなことがわかりますよね。

 「人から成り立つシステムを理解する最良の方法は、それを変えてみようとすることだ」と言ったクルト・レヴィンが、アクションリサーチというものをつくって、「科学の営みというのは相手に影響を与えない方が良いと思われているが、変えようと思った方が学問も進歩する」と主張しました。

 クルト・レヴィンが行った研究の一つに、食習慣を変えなければいけない状況になったときに、栄養の先生がレクチャーするのが良いのか、レクチャーは最小限にしてグループ討議して自分たちで決めさせる方が良いのかを実験したものがあります。この結果、レクチャーを受けるだけの場合よりも、自分たちで意思決定した方が食習慣を変える可能性が高いことを明らかにしました。実際に食習慣を変えようとして実験することによって、集団による意思決定の方法を明らかにできたのです。

 そう考えると、クルト・レヴィンが言い出したことが、アクションリサーチの元となり、それが組織開発へと発展した。組織開発は基本的にチェンジ・エージェントを目指す人のツールですから、そこには、やはり一緒に変えようとする人や、クライアントとの関係、コミューナルなものの存在というものが、とても大事な要因ではないかと思います。

                                (金井氏の回おわり)


                


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