(5)金井壽宏氏

ザ・チェンジ・エージェント〈解説編〉

~人の心に火を点け 現場から組織・社会を変える人たち~

 高い意識と志を持ち、ビジョンの実現を目指して奮闘するリーダーがいる。既存の枠組みに囚われず、組織、仕組み、社会に化学反応を起こし、より良い方向へと変革しながら前進してゆく人たち。彼らをチェンジ・エージェント(変革の促進者)と呼ぶ。
 自在(株)ホームページの特別企画として、毎月一人ずつ、チェンジ・エージェントの活動、想いを取り上げてご紹介していきます。

 

チェンジ・エージェントとは何か

【後編】

神戸大学大学院 経営学研究科 教授
 
金井 壽宏 

 第3回は、金井壽宏神戸大学大学院教授のインタビュー最終回です。 
 チェンジ・エージェントの使命の一つに、世の中の既存の仕組みを変えることがあげられます。この「システムを変えること」について、金井先生は師事してい たMIT教授のエドガー・シャイン氏から、社会心理学者クルト・レヴィンの言葉の解釈を通じて、重要な示唆をもらったと言います。組織開発研究における チェンジ・エージェントの意味や定義を掘り下げていきます。    

● 組織開発手法を開発した

 MIT社会人教授のベッカード

   リ チャード・ベッカードの自叙伝『Agent of change』の中で、わたしがいちばんびっくりしたのは、劇場のマネジャーをやっていたベッカードが、「バズ・セッション」を発明した人物だということ です。バズ・セッションは、初めはフォードのお客さんが1000人、2000人集まる展示場でもインタラクティブに議論できるようにした会議のやり方で、 今や小学校の先生でも知っていますよね。実は、大きな展示場でフォードの車を見た人が、どの車が良くてどの車はイマイチか、1人だけに聞いてもよくわから ないから、周りの人4、5人と、どう変えたらもっと良い車になるか、みたいなことを、ちょっと話してくださいよと言ってやったのが始まりだそうです。
 
 シアター・マネジャーだった人がチェンジ・エージェントになったというのも面白いし、MITみたいな大学が、ベッカードを特任教授として抜擢し、今でこそ日本でも普通に行なっている社会人教授をすでに当時採用していたこともすごいですよね。
 
  このような社会人教授を、米国の大学では“Adjunct Professor”といいます。日本語で言えば特任教授、非常勤教授でしょう。Adjunctとは付属物とか助手を意味しますが、口の悪い人が訳したら 「おまけ教授」です。Ph.D.は持っていないが、上手に教えられる人という意味もあるようです。

 このアジャンクト・プロフェッサーとしてリチャード・ベッカードがいて、そしてダ グラス・マクレガー自身がクルト・レヴィンの考えを信じていたから、若いエド・シャインなんかにNTL(National Training Laboratories)に行けといったわけです。NTLがよく知られているのは、マクレガー以外にも、社会技術システム論で名高いA.K.ライスな ど、結構有名な人がそこにつながっているためで、その時点で組織開発の重要な人材が連なる、国宝レベルだったと思いますね。そして、今もずっと活動が続いていますから。


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