(1)須賀亨氏

ザ・チェンジ・エージェント<実践編>

 ~人の心に火を点け 現場から組織・社会を変える人たち~

 高い意識と志を持ち、ビジョンの実現を目指して奮闘するリーダーがいる。既存の枠組みに囚われず、組織、仕組み、社会に化学反応を起こし、より良い方向へと変革しながら前進してゆく人たち。彼らをチェンジ・エージェント(変革の促進者)と呼ぶ。
 自在(株)ホームページの特別企画として、毎月一人ずつ、チェンジ・エージェントの活動、想いを取り上げてご紹介していきます。

組織が抱える問題は、個々人が抱える問題の総体

変革の実現に向け、本音で語れる場を創り出す


【前編】

元株式会社リコー 画像生産事業本部 

グループリーダー

須賀 亨 氏

 リコーに30年間勤務し、2010年7月初旬に早期退職した須賀亨氏(54歳)。在職中は組織変革の核として部門の活性化に尽力し、退職後はこれまでのキャリアとはまったく関係のない「エココミュニティ」「エコビレッジ」構想の実現を目指しています。はたしてリコーでの組織改革をどういう思いで遂行し、そして会社を離れてからの人生をどう考えていたのでしょうか。
(ライター:大下明文)

 

•入社11年目の転機

 1992年、須賀氏が入社11年目を迎えたときだ。

 画像生産事業本部・生産統括センターの中に、新しく「電子部品技術統括室」が設立されるという話が聞こえてきた。部品の技術的情報を一元管理し、最適な部品選択、回路設計が可能になることを目的とした部門である。

 従来から部品選びは部門ごとの決定事であった。だが、部門のレベルの差もあって、それが必ずしも最適とは限らない。そこで、縦割りの弊害を乗り越え、部門横断的にベストな選定ができるような仕組み作り、ルール作り、人材作りを志向したのである。

 電子部品の購買部門にいて「10年間、ひととおりのことはやってきた。ちょうど変化が欲しかったとき」と思っていた須賀氏には、またとない話であった。

「購買でいろんな技術的内容や取引先に接してきましたから、それが生かせるかなと思いました」

 ところが当時は他部門からの人材募集制度や手を上げて異動するエントリー制度はない時代だった。「所属長に願い出ても反対され、なかなか苦労した」末、なんとか役員レベルで話をまとめてもらう。それだけ異動したかったということだろう。

 電子部品技術統括室は須賀氏も含め5人でスタートする。役員承認があるとはいえ、まだ実績もないし、部品選択は各部門の設計の権限で「好きにやる」のが習わしとなっていた。

「何でもそうだと思いますが、上からものを言えば反発を食らいます。私たちは御用聞きのつもりで、各部門のリーダーに『この部品のほうがいいですよ、安いですよ』などと一つひとつ提案していきました」

 リーダーは開発に対して厳しいコスト目標が課されている。電子部品技術統括室は部品のエキスパートがいるのが強みだった。まずはベテラン勢のいない部門を狙い、コスト削減の手伝いをした。実績が出ればそれを別の部門に示す。1年ほどたつころには、向こうから「頼むよ」と言われるようになる。


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