(3)中島英幸氏

変革に必要なのは

本音で話し合い、違いを認め合う場づくり

【中編】

日本電気株式会社
コーポレートコミュニケーション部
広報統括マネージャー 

中島 英幸 氏 

  関連会社の人事マネジャーとして制度改革に臨んだものの、役員やプロジェクトメンバーからは反発されてしまい、中島さんはつらい立場に追い込まれます。そこからはスタンスを転換し、人に何かを「やらせる」ように仕向けるのではなく、メンバー自らが当事者となって「考える」「関わる」、そのために「話し合う」アプローチへと舵を切りなおします。風土改革の主体者を他のメンバーに委ね、「対話」の場づくりに向けて、中島さんはどのような工夫を重ねたのでしょうか。


● 心底納得いかなければ

  行動には結びつかない

 「良い人事制度があれば、人は変わる」という考えに基づいた中島氏のやり方は、思い通りにはいかなかった。上から制度を一方的に押しつけるやり方が、現場や役員に受け入れられず、状況は一向に改善されなかったのである。それどころか、風土改革を一緒に取り組もうとしたプロジェクトのメンバーたちから、そっぽを向かれてしまう。

 「四面楚歌にあったときのやりきれない気持ち。何とかしようと頑張れば頑張るほど、どうにもならなくなる状況を体験して、入社以来経験したことのないつらさを感じました。結局、これまでのように自分が主導して進めることをあきらめざるを得なくなりました」

 そこで中島氏は、自分から方向性を示すことをやめ、風土改革の他のメンバーたちに委ねることにした。

 そっぽを向かれた理由は何か。

  「自分たちが操作されるということへの本能的な嫌悪感ではないでしょうか。NECから出向してきた私はいつか本社へ戻りますから、そこにそもそも共感性がない。それは私も初めから分かっていましたが、共感など必要だと思っていませんでした。でも、どうすればよくなるかを考えるには、共感し合える人同士で話すことが大切です。そのために、まずは黙ってみんなの話を聞き続けるしかありませんでした」

 黙って皆の話し合いを聞いていると、話されているテーマやプロセス、結論とは全く別の感情がその場で進行していることに少しずつ気づき始めた。

 一般に会議は、ある程度効率的に議論が進み、結論が導き出され、全員がそれに合意するというプロセスで進むが、その一方で、何か納得できない表情や、腑に落ちない表情の人がいる。そして、会議で決まったことは、その後の行動になかなか結びついていかない。

 そういう様子を見ているうちに、会議の場で表に出てくることのない感情に向き合うことが必要だと感じ始めた。


                                                                                                   


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