(2)中島英幸氏

●制度だけでは人や組織は変わらない

 中島氏は、もともとNECの人事畑をずっと歩んできた。以前からプロデュースや黒子役が好きで、研修の企画運営といった「場づくり」にも率先して取り組んでいたという。

 「以前は良い場をつくることで、みんなに喜んでもらい、それによって私が褒められることが目的でした。しかし今は、場をきっかけにして、その人の主体性が引き出されて、それが次のアクションに結びつき、結果として仕事や人生がより良いものになっていく。そういう場をつくっていきたいと思っています」

 このように中島氏の考え方を変える大きなきっかけとなったのが、2001年7月から2006年3月まで出向したNECネクサソリューションズ(以下、ネクサス)での経験である。同社は、NECグループ5社が統合し2001年に発足した会社で、システムインテグレーションやソフトウェアの設計・開発などを手がける。約2800人の組織で、中島氏は人事・人材開発グループマネージャーとして、合併後の新会社における社員の融合や風土改革を担った。

 就任当初、中島氏が重視していたのは、良い人事制度をつくることだった。

 「良い人事制度をつくれば、必ず人のモチベーションは付いてくると思っていましたし、そういうものをつくることが自分の仕事だと思っていました。組織や制度といったハードウェア、氷山理論でいうところの目に見える部分を変えていくことによって、目に見えない人間の心を変えていこうという発想でした」

 当時は、成果主義やコンピテンシーに代表されるアメリカ的な人事制度が最先端のものとして考えられていた頃。中島氏もパフォーマンスや成果を見える化し、ジョブグレード制を導入することによって、組織の変革を試みた。

 「当時は人の心を動かすのに最も適切な制度は何かということを、一所生懸命考えていました。それで風土改革を行おうとしたが、現実はうまくいきませんでした。今となってはよくわかりますが、すべてを計量化するという発想そのものが間違っていたのです」


                                      (つづく)


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