(5)鈴木中人氏

娘の死を契機に、

「いのち」の大切さを語り継ぐ

【後編】

NPO法人いのちをバトンタッチする会 代表
(株)ライフクリエイト研究所 代表取締役 

鈴木 中人 氏 


  愛娘の死を契機に、自らの使命を「いのちの大切さを語り継ぐこと」と定め、会社を退職した鈴木さん。NPO法人「いのちをバトンタッチする会」を発足し、 講演活動を始めます。会社を辞めたことで人生は一変し、最初は戸惑いがあったものの、鈴木さんが伝え続ける「いのちの授業」への評価が、学校や企業研修の 現場で徐々に高まっていきます。
 インタビューの最後は、生き方を見つめ直して新たに見出した「夢」をお聞きしました。




● 命を見つめ
ることは、

  生き方や働き方を

  問い直すこと

  限りある人生、自分が本当にやりたいことをやろうと決心して会社を早期退職し、NPO法人「いのちをバトンタッチする会」を設立した鈴木氏。しかし、初めのうちは講演の依頼がまったくなく、スケジュールは真っ白な状態が何日も続いた。

  「会社を辞めた翌月は、給料日が近づくと落ち着かないんですよ。給料日になると、もしかしたら何かおまけで会社から振り込まれているかもしれないと思い、 夕方銀行に記帳しに行きました。でも、おまけなんてあるわけがない(笑)。会社を辞めれば収入がなくなるということは頭ではわかっていましたが、それが現実だとわかると足が震えました」

 やがて、それまでボランティア活動や本の出版を 通じてお世話になったり、鈴木氏の活動に賛同した人々の口コミによって、徐々に講演の依頼が入るようになった。また、折しも愛知県が学校で命の教育を重要施策として掲げ、市民を集めて研究会を開く予定があった。鈴木氏は知人の紹介を通じて研究委員の一人となり、県のシンポジウムなどにも声がかかるように なった。

 主に小中学生やその親を対象に行っていた「いのちの授業」だが、やがて鈴木氏は、「この内容はビジネスマンや経営者にも必要ではないか」と思い至る。

  「命は英語でライフ(LIFE)ですが、ライフには生活、生き様、人生、活力などの意味もあります。命とは、自分の生き方でもあるわけです。私はそれまで の10年間を振り返り、命について考えながら、自分の生き方を変えたんだなと感じた時に、ビジネスマンや経営者が、さまざまな辛い経験をしながら働くこと も一緒ではないかと思いました」

 命を見つめていくと、どう生きるか、どう働くか、という問いかけになっていく。それを突き詰めれば、自分の思いが深まり、人間力の高まり、そして会社の発展へとつながっていくのではないか。

  とはいえ、会社の中で「いのち」という言葉を使っても伝わりにくい。そこで、鈴木氏はいのちに関わるキーワードを会社や経営の中で伝わる言葉に翻訳して、 人づくりや経営の中にいのちの目線を盛り込んでいけば、人間教育や風土・意識改革のツールになるのではないかと考えた。

                                      


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