(4)阿部裕志氏

•人と人を結びつける

 巡の環の3つの事業

 
 巡の環は、次の3つの事業を掲げている。

(1)地域に根差す「地域づくり事業」

(2)地域から学ぶ「教育事業」

(3)地域を伝える「メディア事業」

 地域づくり事業は、頼まれたことは何でもやろうというスタンスだ。

 09年の「名水サミット」の企画から運営までを担ったり、島外の小学生を受け入れて自然体験させる「島の自然楽校」の運営サポートを行っている。

「お祭りのときのビデオ撮影や、民宿から頼まれて皿洗い、スナックのママさんのお手伝いなど、お金になる、ならないごっちゃ混ぜでやっています」

 巡の環のスタッフは7人全員がIターン組だ。しがらみがない分、地域づくりに貢献できると思えば自由に動けるのが強みだ。

 教育事業は、阿部氏が「将来、本当にやりたいこと」と熱を入れる事業だ。「海士五感塾」や「東京財団週末学校」、「島流地域インターンプログラム」、「ラーニングジャーニーin海士」といった教育・研修プログラムを組んでいる。

 海士五感塾は企業人を、東京財団週末学校は全国の市区町村職員を受け入れる。海士町で働く人の話を聞き、伝統文化に触れ、気づく力や感じる力に磨きをかけてもらう。ラーニングジャーニーin海士は、旅を学び合う場と考え、集う人がお互いに足りないところを補う。島流地域インターンプログラムは、将来、地域おこしを志している人を受け入れて、島ならではの生き方や暮らし方を学んでもらう。

 メディア事業は「海士webデパート」で海士の物産をインターネット販売するほか、冊子やCDを制作し、紙情報や音楽を通じて海士を伝える。

「商品の販売を通じて海士と島外の人を結びつけることができます」

 ネットで売るのは海士牛や岩ガキ、ふくぎ茶などだ。岩ガキもふくぎ茶もUIターン者が商品化したものだ。

「島内に自生しているクロモジの木を海士ではふくぎの木と呼び、昔から枝を煮出して飲んでいました。二日酔いに効くとか、五右衛門風呂に入れて入ると傷口が化膿しないと言われています」

 ふくぎ茶は知的障害者が通う島内の作業所「さくらの家」が作る。「たくさん売ってくれたら僕らの給料が上がるから」と言われるのがいい意味でプレッシャーとなり、頑張れる。

「最初は1時間の工賃が200円でしたが、売れるようになって400円になりました。地域のいいものを売り、作る側にも使う側にも喜んでもらうのも、一つのフェアトレードだと思うのです」

 東京などで海士の食を提供し、対話の場を作る「AMAカフェ」を開設するのもメディア事業の一環である。

                                      (つづく)


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