(2)田辺 大氏

●NPOを支援する

 コンサルタントとして

  田辺氏は2003年にNPOを支援する目的で、フォレストを設立する。

 「日本でも少しずつ社会起業家が出現し始めていましたが、経営のノウハウが乏しいので、私がコンサルティングで培った知見をNPOに移植すれば持続性が強化できるのではないかと思いました」

 会社設立の直接のきっかけは米国留学での経験である。だが、伏線にも目を向けておこう。

 時間を大学4年生時に巻き戻す。

  1993年7月、北海道南西沖地震が発生し、奥尻島に甚大な被害を及ぼした。被災者を助けようと、友人からボランティアの誘いを受けた。

 「当時の私はボランティアとか社会貢献は欺瞞だと思っていましたが、就職活動も終わり時間の余裕もありましたので、一緒に向かうことにしました」

 災害ボランティアとして入った奥尻島は焦土と化していた。自衛隊や赤十字のテントが張られ、ジープが走る。被災者が着の身着のままで逃れてくる。

 「そのとき、自分の人生のテーマは『難民問題』にあると思いました」

  言ってみれば、10年の月日が過ぎて、戻るべきところに戻ってきたのである。 生物が共に生きる森のように、多様な価値に支えられた社会を築きたいとの願 いで命名したフォレストは、ホームレス支援のNPOや環境NPO、フェアトレードコーヒーの焙煎工場などを支援する活動に入る。

 なかでもコーヒー焙煎工場の案件には手ごたえを感じた。

「3人でやっている小さな町工場ですが、売上が2倍、給料が5倍になりました。スタート地点が低かったこともありますが(笑)、代表の人はそれを生業として、結婚もし、子どもも育てています」

 支援するNPOが経済的自立を果たしていくにつれ、田辺氏もNPO支援コンサルタントとしての地位を固めていくことになる。ただし、フォレストはまだ、今のように視覚障害者雇用を促進する事業は行っていなかった。

                                                                                  (つづく)


横浜商科大学
特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会
NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会