(1)田辺 大氏

ザ・チェンジ・エージェント<実践編>

  ~人の心に火を点け 現場から組織・社会を変える人たち~

  高い意識と志を持ち、ビジョンの実現を目指して奮闘するリーダーがいる。既存の枠組みに囚われず、組織、仕組み、社会に化学反応を起こし、より良い方向へと変革しながら前進してゆく人たち。彼らをチェンジ・エージェント(変革の促進者)と呼ぶ。
 自在(株)ホームページの特別企画として、毎月一人ずつ、チェンジ・エージェントの活動、想いを取り上げてご紹介していきます。
 

日本活性化のカギは「多様性」

起業の民主化で社会を変える

【前編】

有限会社フォレスト
代表

田辺 大 氏
 
  社会起業家という言葉が聞かれるようになったのはここ数年のことです。視覚障害者によるオフィスマッサージ事業を展開するフォレスト代表の田辺大さんは、社会起業の実践者であり、普及者でもあります。しかしかつては、日本の自動車メーカーから外資系コンサルへと、今と180度違う世界を歩んでいました。なぜ社会の困難な課題解決へ立ち向かうビジネスへ踏み込んだのか。社会起業との出会い、事業化のポイントや苦悩、これからの可能性を聞いていきます。(ライター:大下明文)


● 外資系コンサルから

  180度の転換


 田辺氏のキャリアには、あるところで断絶が存在するように感じる。94年に中央大学法学部政治学科を卒業し、日野自動車に入社。企画室、国内営業、工場購買の部署を回り、6年半を過ごす。

 その後、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)で業務プロセス改善のコンサルティングとして活動している。

 外資系に移ったのは自分の価値を確かめるためだった。

 「日本企業では確かに上司にハンコをもらう技術は高くなるかもしれませんが、社外で自分は通用するのか不安を感じていました」

 ちょうどPwCが自動車メーカー出身の人材を探していた。

 「業務プロセスの改善といえば聞こえはいいのですが、要はリストラの提案です」

 クライアントの企業に入り込み、業務調査を行う。そして役員会で、あるべき業務プロセスに対してどれくらいの無駄が生じていて、何人リストラできるかを提示するのだ。昼夜なく、週末なく、田辺氏はこの仕事に従事したが、3年近くで限界を感じた。

 「株主には喜ばれる仕事かもしれませんが、社員にとってはどうでしょうか」

 先の見通しのないままコンサルティングファームを去る。

 「コンサルタント仲間からは『コンサルタントたるもの何のリスクヘッジをせずに辞めるべきではない』とずいぶん叱責されたものです(笑)」

 その後、ビジネス英語を学ぶために3か月間滞在したアメリカで、次のキャリアを見出すことになる。

 「ハーバード大学のビジネススクールやケネディスクールが近くにあり、講義を聴講する機会が多くありました。そこで強調されていたメッセージが『ソーシャル・アントレプレナー』、つまり社会起業家だったのです」


横浜商科大学
特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会
NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会