(1)鈴木崇之氏

ザ・チェンジ・エージェント<実践編>

  ~人の心に火を点け 現場から組織・社会を変える人たち~


  高い意識と志を持ち、ビジョンの実現を目指して奮闘するリーダーがいる。既存の枠組みに囚われず、組織、仕組み、社会に化学反応を起こし、より良い方向へと変革しながら前進してゆく人たち。彼らをチェンジ・エージェント(変革の促進者)と呼ぶ。
 自在(株)ホームページの特別企画として、毎月一人ずつ、チェンジ・エージェントの活動、想いを取り上げてご紹介していきます。

草の根リーダーを増やして風土を変える
「私がやる!」プロジェクトを牽引

【前編】

(元)帝人グループ

「私がやる!」プロジェクト 事務局

(現)帝人ファーマ株式会社
戦略企画室 医薬医療企画部        
事業企画グループ
担当課長
鈴木 崇之 

第一製薬でMR(医薬情報担当者)として活躍し、次のステップを求めて2002年に帝人(現在の帝人ファーマ)に転職した鈴木崇之さん(38歳)。帝人グループの社内研修「若手交流会」をきっかけに、自然発生型の組織風土改革を志向した草の根活動「私がやる!」プロジェクトを立ち上げ、その事務局として活動を推進してきました。4年半の活動を経て、今年7月に事務局のバトンを後任に渡した鈴木さんに、これまでのご自身の歩みと今後の展望を振り返っていただきました。


●「行きたくて仕方ない会社」を目指す草の根プロジェクト

 2006年2月、帝人グループの若手・中堅層が経営陣に提言する研修「若手交流会」の発表会。当時34歳の鈴木氏が所属するチームの発表に対して、当時のCEOが「すぐやろう! 明日からやろう!!」とコメントした。「私がやる!」プロジェクトが会社に認められた瞬間だ。


 同プロジェクトが生まれた背景には、05年12月に鈴木氏の提言チームが帝人グループ社員に実施した「帝人グループのイメージ」に関するアンケート調査があった。結果を分析すると、「堅実」「伝統的」「誠実」といったイメージが上位に並び、帝人グループが目指すべきイメージとして掲げている「コミュニケーション」「チャレンジ」「顧客志向」などは相対的に弱いことが明らかになった。さらに、自由意見では「カタイ(硬い/堅い/固い/難い)」「ナイナイづくし(元気、若さ、力強さ、個性、独創性、スピード……がない)」「大企業病(官僚的、お役所的、顧客志向なし)」といった回答が多く寄せられた。こうした組織風土における理想と現実のギャップを埋めるべく提案されたのが「私がやる!」プロジェクトだった。


 同プロジェクトのビジョンとして掲げたのは「行きたくて仕方ない会社」。 「帝人グループで働けて良かった」と言えるような、理想の会社を自分たちの力でつくろうという決意を表現した。いい会社・職場づくりを通じて、社員自らのQuality of Lifeと会社の業績を高めることを目指す活動である。


 その方法は、現場・職場ではじめの一歩を踏み出し牽引役となる「草の根リーダー」を個別具体的な支援によって一人二人と顕在化させながら、全社的なうねりに発展させていくイメージだ。活動方針は「やりたい人がやる、出入り自由」。自ら手を挙げた草の根リーダーは、自分のやりたいことを自分のペースで、社内外の仲間と展開する。そして、その活動の様子が社員向けのイントラHPで報道されることで、「あの人たちがやっているなら自分たちも・・・」という好循環を生んできた。

 立ち上げから4年半が経過し、2010年7月の時点で、草の根リーダーは55名、草の根リーダーのフォロワーは推定550名、鈴木氏が書く社内向けメルマガの送信先はCEOなどの経営層も含めて2,193名、イントラネット閲覧は更新毎に約1,500アクセスと、活動の輪はジワジワと広がった。成果や業績に結びついた活動も出てきた。


 例えば、ある生産現場では、優良企業を訪問して5S(整理・整頓・掃除・清潔・躾)を肌で体験。自部署でもマネをしてチーム改善活動に発展させ、動力費など、従来以上のコスト削減を実現した。また、技能伝承をテーマとした改善活動では、事務局が企画したCEO座談会で経営トップから技能伝承のヒントを得て、ベテランの手作業をVTRに記録し、教材を作成することを職場で提案。工場長の支援を得て作成された教材は、新人教育や誤操作防止に役立てられている。


横浜商科大学
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